○都城市火災調査規程
平成18年12月28日
都消訓令第3号
都城市火災調査規程(平成18年都消訓令第11号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則
第1節 通則(第1条―第4条)
第2節 火災の基準(第5条・第6条)
第2章 調査の体制及び執行(第7条―第11条)
第3章 調査の実施
第1節 調査上の心構え(第12条―第16条)
第2節 現場保存(第17条―第19条)
第3節 原因調査(第20条―第27条)
第4節 児童に対する取扱いの特例(第28条―第32条)
第5節 損害調査(第33条―第35条)
第6節 原因の判定(第36条)
第4章 照会及び鑑定等(第37条―第41条)
第5章 調査書類の報告及び保存(第42条―第44条)
第6章 り災証明及び開示基準(第45条・第46条)
附則
第1章 総則
第1節 通則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第31条に基づく火災の調査(以下「調査」という。)に関する必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害を明らかにして、火災予防施策及び警防対策等の消防行政に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設若しくはこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 爆発現象 化学的変化による爆発の一つの形態であって、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱とを発生し、爆鳴・火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。
(3) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物に設けた事務所、店舗、興業場、倉庫その他これらに類する施設(貯蔵槽その他これに類する施設を除く。)をいう。
(4) 収容物 原則として柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されているものをいう。
(5) 森林 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木と、これらの土地以外で木竹の集団的な生育に供される土地(農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。)をいう。
(6) 原野 雑草、灌木類が自然に生育している土地で人が利用しないものをいう。
(7) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(8) 自動車車両 次号の鉄道車両以外で、原動機によって運行することができる車両をいう。
(9) 鉄道車両 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)における旅客、貨物の運送を行うための車両又はこれに類する車両をいう。
(10) 船舶 独行機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(11) 航空機 人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船等の機器をいう。
(12) 鑑定 出火原因に係る物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について、科学技術的手法により必要な試験及び実験を行い、その結果をもとに火災原因判定のための資料を得ることをいう。
(13) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(14) 関係者 法第2条第4項に定める者をいう。
(15) 関係者等 関係者、火元責任者及び火気取扱者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者その他火災に関係のある者をいう。
(調査の区分)
第4条 調査は、原因調査及び損害調査に区分する。
2 原因調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火原因 出火箇所、発火源、経過及び着火物
(2) 火災の性状 煙の流動状況、延焼経路及び延焼拡大の要因
(3) 火災初期の対応 発見状況、通報状況及び消火状況
(4) 避難状況 火災現場における避難者、要救助者の行動及び救出救助状況等
(5) 消防用設備等の設置使用状況
(6) 死傷者の状況
(7) 前各号に掲げるもののほか消防行政上必要な事項
3 損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害
(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた焼き損害及び消火損害以外の損害
(4) その他の損害 煙害等による損害
(5) 死傷者 火災に起因して生じた死者及び負傷者
第2節 火災の基準
(火災件数)
第5条 火災の件数は、原則として一つの出火点から拡大したもので、出火に始まり鎮火するまでを1件とする。
(火災の種別)
第6条 火災は、次の種別に区分する。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(3) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災をいう。
2 前項各号の火災の種別が2以上複合するときは、焼き損害額の大きなものの種別による。ただし、その態様により焼き損害額の大きなものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときはこの限りでない。
第2章 調査の体制及び執行
(調査の実施責任)
第7条 調査の責任は、火災が発生した場所を管轄する都城市南消防署長又は北消防署長(以下「署長」という。)にあるものとする。
(調査員)
第8条 調査を行わせるため、都城市南消防署及び北消防署に調査員を置く。
2 前項の調査員は、消防隊及び予防担当をもって充てる。
3 署長は、前項の規定にかかわらず、必要に応じて調査員以外の職員に調査を行わせることができる。
(調査の着手)
第9条 署長は、管内の火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 前項のほか九州縦貫自動車道宮崎線における火災については、九州縦貫自動車道における消防相互応援協定(平成18年1月締結)に基づき調査を行うものとする。
(調査の応援等)
第10条 署長は、調査のために必要があると認める場合は、他の署長又は都城市消防局予防課長(以下「予防課長」という。)に調査員の応援を要請することができる。
2 前項の要請を受けた署長又は予防課長は、調査に協力しなければならない。
(派遣命令)
第11条 都城市消防局長(以下「局長」という。)は、法第35条の3の2に基づき、消防庁長官が行う火災の原因調査に協力する場合その他特に必要があると認めた場合は、調査員及び調査員以外の職員の派遣を命ずることができる。
第3章 調査の実施
第1節 調査上の心構え
(調査員の心得)
第12条 調査員は、火災の現象、関係法令等その他調査に必要な知識の修得及び調査能力の向上に努めるとともに次の事項を遵守しなければならない。
(1) 相互に連絡協調し、常に調査全般が進展するように努めること。
(2) 態度を厳正にし、言語動作に注意し、関係者に不快な感じを抱かせないこと。
(身分の提示、承諾、立会い)
第13条 調査員は、調査に当たっては必ず自己の身分を明らかにし、関係のある者の承諾を得て行うことを原則とし、特別の場合を除くほか、関係者等の立会いを求めなければならない。
(秘密の保持)
第14条 調査員は、法その他の関係法令を遵守し、個人の自由及び権利を不当に侵害したり調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(民事不介入)
第15条 調査員は、その職務を利用して関係者の民事的紛争に関与してはならない。
(関係機関との協力)
第16条 調査に当たっては、警察署その他関係機関の職員と緊密な連絡を保ち、相互に協力しなければならない。
第2節 現場保存
(消火活動中の保存)
第17条 消防隊員は、出火現場付近の消火に際しては、出火前の状態が推測できるよう細心の注意を払い、現場の保存に努めなければならない。
2 消防隊員は、防御活動のためやむを得ず出火場所付近の物件を移動又は破壊しようとするときは、写真を撮影し、又は配置図等の図面を作成する等の方法により、その後の調査活動に支障を来さないようにしなければならない。
(鎮火後の保存)
第18条 火災現場の上級指揮者は、消火活動終了後直ちに現場保存の必要な区域を設定し、その保全に努めなければならない。
(焼死者等が生じた場合の措置)
第19条 火災現場の上級指揮者は、火災現場において焼死者又はその他の死者を発見したとき、又は生死の確認ができない関係者があるときは、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
第3節 原因調査
(調査の原則)
第20条 原因調査は、常に事実の確認を主眼として先入観にとらわれることなく、合理的な判断と科学的な妥当性に基づき事実の究明に努めなければならない。
2 調査は、物的調査と人的調査を併用しなければならない。ただし、原因の決定に当たっては、物的調査に主眼を置かなければならない。
3 前項の物的調査は、火災現場において全体的に見た燃焼の度合、建築物各部、内容物、火気、電気等の施設及び器具若しくは物件の焼損状況を綿密に見分して、火災原因又は出火点の認定資料としなければならない。
4 第2項の人的調査は、時期を失することのないよう現場又は適当な場所において、早期発見者、火元関係者その他の関係ある者に対して、出火前後の模様、火気その他発火物と思われるものの使用、取扱い等原因判定に必要と認められる事項について質問し、火災原因又は出火点の認定資料としなければならない。
(出火出場時における見分調書)
第21条 消防隊員は、出場途上、現場到着時及び防御中の現場において、火煙の色、臭い、燃焼状況及びその後の推移、施錠の状況、関係者等の言動その他原因の究明に必要と認められる事項を把握しなければならない。
3 出場した消防隊の各指揮者は、火災の調査上必要な事項について、調査員に報告しなければならない。
(実況見分)
第22条 調査員は、鎮火後の現場において実況見分を行う場合は、全体を見通す位置につき、現場の外周から中心部に至る経路をとり、あらゆる角度から焼損の状況を観察し、次に掲げる事項について詳細に見分しなければならない。
(1) 被災物の被災程度
(2) 被災物の形状
(3) 焼損物の焼損程度
(4) 焼損物の落下、倒壊、堆積等の状況
(5) 焼損物の変質、亀裂、溶融、臭い等の変化の状況
(6) 前各号に掲げるもののほか必要な事項
(現場の発掘)
第23条 出火原因の調査は、前2条に規定する見分状況並びに関係者等の口述から調査方針を立て、現場発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。
2 発掘は、出火範囲として限定した区域を周囲から出火箇所付近へ順次実施するものとする。
3 発掘に際しては、立会人の口述に基づく物品配置等に留意し、関係物件の原状確保に配意しなければならない。
2 前項の作成に当たっては、付近見取図及び必要な図面(平面図、立面図、配置図、詳細図、姿図等の復元図をいう。)を添付しなければならない。
(質問)
第25条 調査員は、関係者等に調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。
2 質問を行うに当たっては、場所、時期などを考慮して被質問者の任意の供述を得るよう努めなければならない。この場合において、個人のプライバシーに関する事項の質問については、第三者が不在の場所で行うものとする。
3 質問を行うに当たっては、自己が期待し、又は希望する供述内容を相手方に暗示するなどの方法により誘導してはならない。
4 質問に対する供述の内容が伝聞の場合で調査上必要と認めるときは、その事実を直接経験した者の供述を得るよう努めなければならない。
(火災現場写真記録)
第27条 調査員は、原因究明に必要なものについては写真を撮影し、火災現場写真記録(様式第4号)を作成しなければならない。
第4節 児童に対する取扱いの特例
(調査員の心得)
第28条 調査員は、火災の発生に関係した児童(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する満18歳に満たない者をいう。以下同じ。)に対し質問を行う場合には、親権者の立会いのもとで行う等、特に配慮しなければならない。
2 前項に定める児童に関する調査に当たっては、児童の特性をよく理解し、言動に注意しその心情を傷つけないように努めなければならない。
(関係機関との連絡)
第29条 調査員は、児童に関する調査を行うに当たって必要があるときは、警察署、児童相談所、学校、その他関係機関と連絡を密に行わなければならない。
(署名)
第30条 質問調書(様式第3号の2)に火災の発生に関係した児童の署名を求めてはならない。ただし、当該児童の親権者に作成内容を閲覧又は読み聞かせて誤りのないことを確認したときは、親権者に任意の署名を求めることができる。
(氏名等の公表禁止)
第31条 新聞その他の報道機関に対し、火災の発生に関係した児童の氏名を公表し、又は推知させてはならない。
(心神そうしつ等の状態にある者への準用)
第32条 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に定める知的障害又は精神障害にある者が関係する調査は、この節の規定を準用する。
第5節 損害調査
(り災の申告)
第34条 署長は、火災損害調査のため必要があるときは、関係者に対し、り災申告書(様式第5号)の提出を求めることができる。
(損害額の算出)
第35条 火災損害額の算出に当たっては、火災報告取扱要領の全部改正について(平成6年4月21日消防災第100号通知)により算定する。ただし、これによりがたい場合は、この限りでない。
第6節 原因の判定
(火災原因判定書)
第36条 火災原因判定書の作成に当たっては、次のことに留意しなければならない。
(1) 出火出場時における見分調書、実況見分調書、質問調書その他関係資料を総合的に検討し、論理的・科学的に考察し、事実を認定すること。
(2) 総合的結論と原因認定の経過を系統的かつ明確に記載し、それぞれの事実を立証すること。
第4章 照会及び鑑定等
(官公署等への照会)
第37条 署長は、調査のため必要がある場合は、法第32条第2項に基づき関係のある官公署に必要な事項の照会を求めることができる。
(資料の提出)
第38条 署長は、火災の原因究明及び火災調査に資するため必要があると認められる場合は、関係者に必要な資料の提出を求めることができる。
3 資料を返還する場合は、資料保管書と引換えに行うものとする。
(鑑定の依頼)
第40条 署長は、第38条により提出された資料について原因調査のため特に鑑定を必要とする場合は、関係官公署又は学識経験者に鑑定を依頼することができる。
第5章 調査書類の報告及び保存
(調査書の報告)
第42条 調査員は、この規定による調査が終了したときは、次に掲げる書類(以下「調査書類」という。)を添付した火災調査書(様式第13号)を作成し、署長に報告しなければならない。ただし、必要に応じ添付する書類の一部を省略することができる。
(1) 出火出場時における見分調書
(2) 実況見分調書
(3) 質問調書
(4) 火災原因判定書
(5) 火災現場写真記録
(6) 損害査定書
(7) 前各号に掲げるもののほか必要な書類(参考文献等の写し等)
2 署長は、前項の報告を受けたときは、速やかに局長に報告しなければならない。
2 前条の火災調査書の提出後において、火災の原因を調査中とした火災事案は、出火日から1年を経過しても原因に結びつく新事実が判明しない場合は、火災調査書の訂正報告書により不明として訂正しなければならない。
(書類の保存)
第44条 この規定に基づき作成した調査書類(添付する書類を含む。)は、都城市消防局文書取扱規則(平成18年規則第274号)により保存するものとする。
第6章 り災証明及び開示基準
(り災証明)
第45条 署長は、関係者から火災による被害の証明の申請があったときは、り災証明書を交付しなければならない。この場合において、証明の要領については、都城市り災証明に関する事務処理要領(平成18年訓令第23号)による。
(開示基準)
第46条 調査書類の公開については、都城市情報公開条例(平成18年条例第28号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)で定めるところによる。
附則
この訓令は、平成19年1月1日から施行する。
附則(平成24年3月30日都消訓令第4号)
この訓令は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成27年4月1日都消訓令第7号)
この訓令は、平成27年4月1日から施行する。
附則(平成27年12月4日都消訓令第1号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和4年12月16日都消訓令第2号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。