○都城市中小企業・小規模企業振興基本条例

令和6年3月21日

条例第21号

本市の企業の大多数を占める中小企業・小規模企業は、地域経済の活性化や雇用の創出に貢献するとともに、地域コミュニティの担い手として地域づくりにも貢献するなど、地域経済の発展と市民生活の向上に重要な役割を果たしてきた。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化やウクライナ問題に端を発した原油価格・物価高騰、急速に進行する少子高齢化・人口減少など経済的社会的環境が大きく変化する中で、国内需要の落ち込みや労働力人口の減少など、中小企業・小規模企業を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。

このような状況の中で、本市の中小企業・小規模企業が十分に能力を発揮し、持続的に発展していくためには、個々の事業者の自主的な努力を基本としながら、市のみならず、市民、関係団体等が中小企業・小規模企業の役割と重要性を理解し、各々が果たすべき役割を担い、協働して地域経済の循環に努め、中小企業・小規模企業の振興を図ることが重要である。

ここに、中小企業・小規模企業の振興を市政の重要な柱として位置付け、その基本理念及び施策の方向性を定め、地域社会全体で中小企業・小規模企業の振興を図るため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興に関する基本理念を定め、市の責務並びに中小企業・小規模企業、経済団体、大企業、大規模小売店舗設置者等、金融機関、教育機関等及び市民の役割等を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、中小企業・小規模企業の成長発展及びその事業の持続的発展並びに地域経済の活性化を図り、もって本市の経済の発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 経済団体 商工会、商工会議所その他中小企業に関する団体で、市内に事務所を有するものをいう。

(4) 大企業 中小企業及び小規模企業以外の事業者(金融機関を除く。)で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(5) 大規模小売店舗設置者等 大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)に基づく大規模小売店舗の設置者及び大規模小売店舗で営業する小売業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(6) 金融機関 銀行、信用金庫その他の金融業を行うもので、市内に本店又は支店を有するものをいう。

(7) 教育機関等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校及び職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第15条の7第3項に規定する公共職業能力開発施設で、市内にあるものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業の自主的な努力及び創意工夫を促進することを基本として行われなければならない。

2 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業・小規模企業が地域経済の発展及び雇用の創出に貢献し、地域社会の担い手として市民生活を支える重要な存在であるという基本的認識の下に行われなければならない。

3 中小企業・小規模企業の振興は、市、中小企業・小規模企業、経済団体、大企業等、金融機関、教育機関等及び市民の協働により行われなければならない。

4 小規模企業の振興は、小規模企業の経営資源に大きな制約があることを踏まえ、その活力が最大限に発揮され、事業の持続的な発展が図られることを旨として行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を立案及び実施する責務を有する。

2 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を立案及び実施するに当たり、国、県、経済団体、大企業、金融機関その他の関係機関との連携に努めるものとする。

3 市は、小規模企業に対して中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するに当たり、小規模企業の経営の状況に応じて、必要な配慮を行うものとする。

4 市は、中小企業・小規模企業が生産又は販売を行う製品・サービスの市内における購入促進を図るとともに、工事の発注並びに物品及び役務の調達に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業・小規模企業の受注機会の確保に努めるものとする。

(中小企業・小規模企業の努力及び役割)

第5条 中小企業・小規模企業は、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的な経営基盤の強化、雇用機会の確保、人材の育成その他雇用における環境整備に努めるものとする。

2 中小企業・小規模企業は、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

3 中小企業・小規模企業は、市内の循環型経済を確立するため、地域資源の活用及び市内への再投資に努めるものとする。

4 中小企業・小規模企業は、地域社会の一員として、地域社会への貢献及び市民生活の向上に寄与するよう努めるものとする。

5 中小企業・小規模企業は、地域経済の振興を図るため、経済団体への加入等により、その活動に協力するよう努めるものとする。

(経済団体の役割)

第6条 経済団体は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 経済団体は、小規模企業の経営課題の抽出から解決に至るまでのきめ細かな支援により、その経営の向上及び改善に努めるものとする。

(大企業及び大規模小売店舗設置者等の役割)

第7条 大企業及び大規模小売店舗設置者等は、中小企業・小規模企業が地域経済において果たす役割の重要性を理解し、中小企業・小規模企業との連携を図るとともに、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 大企業及び大規模小売店舗設置者等は、中小企業・小規模企業との共存共栄を図るために、地域社会の一員として、地域社会への貢献及び市民生活の向上に資するよう努めるものとする。

3 大企業及び大規模小売店舗設置者等は、地域経済の振興を図るため、経済団体への加入等により、その活動に協力するよう努めるものとする。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の特性及びその事業の状況を勘案した信用の供与、中小企業・小規模企業の事業活動に有用な情報の提供その他の方法により中小企業・小規模企業の経営の向上に配慮するよう努めるとともに、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(教育機関等の役割)

第9条 教育機関等は、職場体験、職業に関する理解を深める学習等を通じて、健全な職業観及び勤労観の醸成に努めるものとする。

2 教育機関等は、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第10条 市民は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興が本市の経済の発展及び市民生活の向上において果たす役割の重要性を理解し、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(基本方針及び実施状況の公表)

第11条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するものとする。

(1) 中小企業・小規模企業の事業活動を担う人材の育成及び確保並びに雇用の創出を図ること。

(2) 中小企業・小規模企業の経営基盤の強化を図ること。

(3) 中小企業・小規模企業への資金供給の円滑化を図ること。

(4) 中小企業・小規模企業の創業、事業承継及び新たな事業分野への進出の促進を図ること。

(5) 中小企業・小規模企業が行う技術開発及び新製品・新サービスの開発の促進を図ること。

(6) 中小企業・小規模企業のデジタル化の推進による業務効率化及び生産性向上を図ること。

(7) 中小企業・小規模企業による地域の農林水産物をはじめとする多様な資源、特性等を活かした事業活動の促進を図ること。

(8) 中小企業・小規模企業の販路開拓及び取引拡大を図ること。

(9) 中小企業・小規模企業の国際的視点に立った事業展開の促進を図ること。

2 市は、前項に規定する基本方針に基づいて推進した施策のうち、主なものの実施状況を取りまとめ、毎年度公表するものとする。

(中小企業者等の意見の反映)

第12条 市は、中小企業・小規模企業、経済団体等から意見を聴く機会を設け、中小企業・小規模企業の振興に関する施策に反映するよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第13条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

都城市中小企業・小規模企業振興基本条例

令和6年3月21日 条例第21号

(令和6年4月1日施行)