○都城市手話等コミュニケーション手段の普及と利用促進に関する条例
令和2年3月13日
条例第14号
会話や言葉として使われる言語は、情報の伝達や意思疎通を図るための手段であり、社会生活を行う上で欠かすことのできないものであるが、障害者の権利に関する条約では、障がい者の意思疎通手段としての言語を音声言語、手話その他の形態の非音声言語と定義している。
障がい者にとっての意思疎通手段は、手話、要約筆記、点字、触覚を使った意思疎通等、多岐にわたるものの、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を選択する機会が十分に確保されているとはいえず、日常的な困難を抱えている人は少なくない。
このような状況を踏まえ、言語としての手話の普及と障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進を図るとともに、障がいの有無にかかわらず、全ての市民の意思疎通が円滑に行われ、互いに人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会を実現するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法(昭和45年法律第84号)に規定する音声言語及び手話その他の形態の非音声言語による情報の取得及び意思疎通手段の利用促進についての基本理念を定め、行政、市民及び事業者それぞれの役割並びに市の施策の基本となる事項を定めることにより、多様なコミュニケーション手段を選択する機会の拡大を図り、もって全ての市民が意思疎通を円滑に行い、互いに人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会を実現することを目的とする。
(1) コミュニケーション 人々が相互に情報を伝達し、意思疎通を行い、気持ちや心を通わせて理解し合うことをいう。
(2) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」という。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により、継続的に日常生活又は社会生活において相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
(3) 社会的障壁 障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(4) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段 手話、音訳、要約筆記、筆談、字幕、点字、触手話、指点字、平易な表現、絵図、記号、身振り、手振り、重度障害者用意思伝達装置、パーソナルコンピュータ等の情報機器その他の障がいのある人が情報を取得し、コミュニケーションを行う際に必要な手段として利用されるものをいう。
(5) 市民等 市内在住者、市内に勤務する者、市内で学ぶ者並びに市内で活動する事業者及び団体をいう。
(6) コミュニケーション支援者 手話通訳者、手話奉仕員、要約筆記者、要約筆記奉仕員、点訳者、音訳者(朗読者を含む。)及び盲ろう者通訳、介助員並びに知的障がい者及び発達障がい者への伝達補助等を行う支援者をいう。
(基本理念)
第3条 手話の理解と普及は、手話が言語であることを基本として行われなければならない。
2 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の選択と利用機会の確保は、障がいの有無にかかわらず相互の違いを理解し、互いの人格と個性を尊重することを基本として行われなければならない。
3 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を利用する者が有しているコミュニケーションを円滑に図る権利は、最大限に尊重されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話の理解促進及び手話の普及を図るとともに、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段による情報の取得及びコミュニケーションの円滑化に関する施策を総合的かつ計画的に推進する。
(市民等の役割)
第5条 市民等は、基本理念に基づき、手話及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解を深め、コミュニケーション支援者と連携して障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を利用できるよう、合理的配慮を行うとともに、市の施策に協力するよう努めるものとする。
(施策の推進)
第6条 市は、その責務に基づき、次に掲げる事項に係る施策を推進するよう努めるものとする。
(1) 言語としての手話に対する理解の促進及び普及を図るための啓発並びに学習機会の確保
(2) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段に対する理解の促進及び普及を図るための啓発並びに学習機会の確保
(3) 市政に関する情報を円滑に取得するための手話及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を利用した情報発信
(4) コミュニケーション支援者の配置の拡充及び処遇改善
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
2 市は、前項に掲げる施策の推進に当たっては、障がい者関係団体その他の関係団体に意見を聴くよう努めるものとする。
附則
この条例は、令和2年4月1日から施行する。