○都城市防災基本条例

平成28年12月26日

条例第43号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 自助(第5条・第6条)

第3章 共助(第7条―第9条)

第4章 公助(第10条―第21条)

第5章 他の地方公共団体等への支援(第22条―第24条)

第6章 雑則(第25条)

附則

東日本大震災や熊本地震をはじめとして、これまでに発生してきた幾多の災害は、多くの生命と財産を一瞬にして奪い、自然が持つ圧倒的な力の大きさと防災の重要性を私たちに突き付けたところである。

過去の災害の経験や教訓を生かし地域特性を踏まえ、あらゆる災害から市民の生命、身体及び財産を保護するための体制を築くためには、市と市民等の責務と役割を明らかにするとともに、官民一体による連携の下、災害を未然に防止することはもとより、減災の理念に基づいた防災対策を講ずることが必要不可欠である。

また、広域的な災害が発生した場合には、被災した地方公共団体を他の地方公共団体が支援する協力体制を構築することが重要である。

ここに、災害が身近な問題であると再認識し、市と市民等との適切な役割分担を図りながら、自助、共助及び公助を基本理念として、市民が安心して暮らすことのできる災害に強い地域社会を築き上げることを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災対策に関し、基本理念を定め、市及び市民等の責務を明らかにするとともに、災害予防、災害応急対策及び災害復旧・復興に関する基本的な事項を定め、防災対策に係る地域間の連携の強化を図ることにより、防災対策を総合的に推進し、災害に強い地域社会を構築することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「法」という。)第2条第1号に規定する災害のうち、暴風、竜巻、豪雨、洪水、崖崩れ、土石流、噴火、地滑りその他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。

(2) 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧・復興を図ることをいう。

(3) 市民 市内に住所を有する者、市内に通勤し、若しくは通学する者又は市内に滞在している者をいう。

(4) 事業者 市内で事業を営む法人その他の団体及び個人事業者をいう。

(5) 自主防災組織 市民が防災活動に取り組むため、隣保協同の精神に基づき自発的に構成する防災組織をいう。

(6) 市民等 市民、事業者及び自主防災組織をいう。

(7) 防災関係機関 自衛隊、警察その他防災に関係する機関をいう。

(8) 要配慮者 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者をいう。

(9) 避難行動要支援者 要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難なものであって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものをいう。

(10) 避難所運営委員会 避難者を主体とする避難所運営のための意思決定機関をいう。

(11) ハザードマップ 災害想定区域、避難場所、避難所、避難経路等に関する情報を示した地図をいう。

(基本理念)

第3条 市、市民等及び防災関係機関は、災害に備える責務があり、自らの安全は自らが守ることを防災の基本として、それぞれが連携を図りながら災害が発生した場合における被害を軽減するために、次に掲げる理念にのっとり、災害対策の充実及び強化に努めなければならない。

(1) 自助の理念 市民等が自己の責任により自らを災害から守ること。

(2) 共助の理念 市民等が地域において互いを助け合い、互いを災害から守ること。

(3) 公助の理念 市及び防災関係機関が市民等を災害から守るための施策を推進すること。

(地域防災計画への反映)

第4条 法第16条第1項の規定により設置する市の防災会議は、地域防災計画に検討を加える場合は、前条に規定する基本理念を反映させなければならない。

第2章 自助

(市民の自助)

第5条 市民は、自助の理念にのっとり、防災対策のため、次に掲げる事項について、常に危機意識を持って自ら災害に備えるよう努めなければならない。

(1) 自らが所有し、又は使用する建築物その他の工作物の耐震性及び耐火性の確保

(2) 家具の転倒防止

(3) 出火の防止及び初期消火に必要な用具の準備

(4) 食料、飲料水、医薬品等の確保

(5) ハザードマップ等による避難場所及び避難所の位置並びに避難の経路及び方法の確認

(6) 家族間の連絡方法の確認

(7) 防災対策に関する知識の習得及び情報の収集

(8) 前各号に掲げるもののほか、日常の防災対策に関し必要な事項

(事業者の自助)

第6条 事業者は、社会的責任を自覚し、自助の理念にのっとり、災害が発生したときに備え、従業員、事業所に来所する者の防災対策のため、あらかじめ次に掲げる事項について対策を講ずるよう努めなければならない。

(1) 事業を継続し、又は早期に復旧・復興するための計画の策定

(2) 管理する建築物その他の工作物の耐震性及び耐火性の確保

(3) 従業員に対する防災訓練及び研修の実施

(4) 応急的な措置に必要な資材の確保及び機材の整備

(5) 食料、飲料水、医薬品等の確保

(6) ハザードマップ等による避難場所及び避難所の位置並びに避難の経路及び方法の確認

(7) 前各号に掲げるもののほか、日常の防災対策に関し必要な事項

第3章 共助

(市民の共助)

第7条 市民は、地域社会の一員としての責任を自覚し、共助の理念にのっとり、市が実施する防災対策に関する事業に協力するよう努めるとともに、災害から生命、身体及び財産を守るため、自主防災組織の活動に積極的に参加するよう努めなければならない。

(事業者の共助)

第8条 事業者は、地域社会の一員としての責任を自覚し、共助の理念にのっとり、市民との連携による防災活動に協力し、及び参加するよう努めなければならない。

2 事業者は、事業所が所在する地域の防災活動に協力するよう努めなければならない。

3 事業者は、市及び防災関係機関が実施する防災対策の円滑な推進に協力するよう努めなければならない。

4 事業者は、災害発生時及び復旧・復興時においては、積極的に応急対策及び復旧・復興対策に協力するよう努めなければならない。

(自主防災組織の共助)

第9条 自主防災組織は、共助の理念にのっとり、消防団、事業者等と協力し、市民の安全確保に努めなければならない。

2 自主防災組織は、災害に備え、その構成員の役割分担をあらかじめ定め、その活動に必要な防災資機材を整備するとともに、初期消火訓練、避難訓練その他の地域における防災活動を実施するよう努めなければならない。

第4章 公助

(市の責務)

第10条 市は、公助の理念にのっとり、災害から市民の生命、身体及び財産を守り、その安全を確保するため、市民等及び防災関係機関と協働して災害予防、災害応急対策及び災害復旧・復興に関する必要な施策を推進しなければならない。

(防災知識の普及及び防災訓練等の実施)

第11条 市は、市民等の防災意識の高揚及び啓発に努めなければならない。

2 市は、防災訓練、講習会等を積極的に行い、防災に関する知識の普及に努めなければならない。

3 市は、防災に関する市民等の理解を深め、防災活動を支える人材を育成するため、学校教育及び社会教育を通じて防災に関する知識及び避難行動を習得する教育の充実に努めなければならない。

(自主防災組織への支援及び防災活動の啓発)

第12条 市は、自主防災組織の活動の促進を図るため、自主防災組織に対して必要な研修を行い、並びにその活動を担う人材の育成及び確保について必要な支援を行うよう努めるとともに、市民の自主的な防災活動の推進に資する啓発に努めなければならない。

(要配慮者への支援)

第13条 市は、要配慮者の避難の支援が円滑に行われるよう、自主防災組織及び防災関係機関と連携し、あらかじめ必要な体制の整備に努めなければならない。

(物資の備蓄)

第14条 市は、災害の発生に備え、必要な物資を計画的に備蓄しなければならない。

(情報の提供)

第15条 市は、災害の発生に備え、災害に関する情報、避難場所、避難経路その他円滑な避難のために必要な情報を市民等に対し提供しなければならない。

2 市は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合は、気象に関する情報その他の必要な情報を速やかに把握するとともに、市民等が当該情報を収集することができるよう必要な措置を講じなければならない。

(災害応急対策の実施体制の確立)

第16条 市は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合は、法第23条の2の規定により設置する災害対策本部を中心とした災害応急対策を実施するための体制を確立しなければならない。

(ボランティアとの連携)

第17条 市は、災害が発生した場合におけるボランティアによる被災者への支援活動の円滑な実施を確保するため、防災に必要な物資の提供その他の必要な支援及びボランティアを受け入れるための体制の整備に努めなければならない。

2 市は、ボランティア活動を推進するため、ボランティアコーディネーターの養成その他の支援を行うよう努めなければならない。

(応急医療体制の整備)

第18条 市は、災害の発生に備えて医療の提供体制を整備するものとし、災害が発生した場合には、市民等及び医療機関と連携協力して、負傷し、又は疾病にかかった者の救護を行わなければならない。

(避難所の開設及び運営)

第19条 市は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、必要があると認めるときは、速やかに避難所を開設し、その運営を行わなければならない。

2 市は、大規模災害により避難所生活が長期化することが予想される場合には、避難所運営委員会の設置及び運営の支援を行わなければならない。

3 市は、要配慮者の避難所における生活の確保のため、社会福祉施設等を福祉避難所としてあらかじめ指定するものとする。

4 避難所に避難した者は、避難所の円滑な運営に協力するよう努めなければならない。

(施設又は設備の復旧要請)

第20条 市は、災害により電気、通信、交通その他の市民の生命又は日常生活の維持に必要な施設又は設備が破損した場合は、当該施設又は設備を管理する事業者に対し、その速やかな復旧を要請するとともに、当該施設又は設備に係る情報提供を的確かつ迅速に行うよう求めるものとする。

(災害復旧・復興の推進)

第21条 市は、災害により甚大な被害が発生した場合は、市民生活の早期の再建を図り、及び都市機能の回復に資するため、速やかに災害復旧・復興を実施するための体制を確立するとともに、国、県、他の地方公共団体等との連携を確保し、これに取り組まなければならない。

第5章 他の地方公共団体等への支援

(他の地方公共団体への支援)

第22条 市は、災害により甚大な被害が発生した他の地方公共団体に対し、災害応急対策又は災害復旧に関する支援を行うよう努めるものとする。

(災害応急対策等の活動を行う機関等への支援)

第23条 市は、災害により他の地方公共団体に被害が発生した場合において、本市を拠点として当該地方公共団体における災害応急対策又は災害復旧に関する活動を行う機関又は団体に対し、市の施設の提供その他の当該活動を円滑に行うために必要な支援を行うよう努めるものとする。

(後方支援拠点都市づくり)

第24条 市は、南海トラフ巨大地震等の大規模災害を想定し、市が後方支援拠点として有する地理的特性をもって、平時から宮崎県南部地域の市町と連携して防災・減災対策の各種施策に関する取組を推進するよう努めるものとする。

第6章 雑則

(委任)

第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

都城市防災基本条例

平成28年12月26日 条例第43号

(平成28年12月26日施行)